歴史学

2013年08月08日

 歴史学が防災や復興に生かされている動きが、日本経済新聞(平成25718日付)朝刊に紹介されていました。この記事によると、東北大学の災害科学国際研究所による津波シミュレーションに津波到達地点をなど史料の記録が反映された結果、慶長三陸地震(1611年)の地震の規模を現わすマグニチュードが従来の8.1から8.5に計算し直されたことが紹介されていました。資料に加え、津波到達地点の標高や海からの距離などの分析には、まさに“地図の力”が必要だったと思っています。

 また、古くから伝わる祭りや地元行事の記載が被災住民の心のよりどころとなるものもあり、史料には復興の議論の過程で焦点を当てられるべきものがあること、東京電力福島第1原発周辺区域にある史料の保護が地道に続けられていることが紹介されていました。

 津波のシミュレーションにせよ、史料の古い記載の保存にせよ、想定される被害の範囲や、記載されている事実の対象範囲をマッピングすることは、それらの空間的な広がりや関連を一覧して理解する上で、大変重要なことだと思われます。そのような歴史学にも“地図の力”が重要なことを、地図に携わっているものとしてうれしく思っています。

 



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