2014年10月16日

脳の空間認知

 今年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオードで日本の3氏が受賞され、うれしい限りですが、10月8日に発表されたノーベル医学生理学賞は「脳の空間認知に関する細胞の発見」で、米国出身のジョン・オーキフ・英国ロンドン大学教授ら3名に与えられました。これも地図にかかわるものとしては興味のあるニュースです。
 自分がどこにいるのか、ある場所から別の場所にはどうやって行くのかなど、人間の活動に空間認知が必須条件です。人間は、たとえば昼間は太陽の方向と時間で東西南北を、歩いたり車に乗っている時間で距離を認識して、頭の中で地図を作り現在地を把握しています。このような、細胞レベルでの「脳内GPS」の機能を明らかにしたことが今回の授賞理由のようです。
 なお「脳内GPS」という言葉は、英語では「inner GPS in the brain」という言葉ですが、GPSという言葉が受賞理由の中で使われています。まさか脳内のミクロな機能と、地球規模のマクロな機能が関係しているとは考えたこともありませんでした。 「脳内GPS」は、脳内の伝達にかかわる細胞と、その伝達システムに関係したポジショニングシステムであることまでしかわかりません。まだこの研究はラットでのレベルなので、今後研究が進んで、老人徘徊などの予防など人間の生活に役立つのではないかと想像しています。
 青色発光ダイオードが21世紀を照らしたと評価されていましたが、脳内GPSの研究は21世紀の健康、特に老人の健康を救うものと期待したいと思っています。(M)

jmcblog at 09:22 
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