2014年04月23日

震災の被災地から学ぶ、川と森の関係

東日本大震災の被災地から、復興に取り組む姿を紹介する番組がありました。その中で興味のあるラジオ番組があったので紹介します。それは、北上川河口での牡蠣(かき)養殖に取り組むある漁民の話でした。

 この話を理解する上から一つ問題を解いてみてください。
 

東京湾と鹿児島湾の違いについて述べた文章ですが、この中で誤りの文章はどれか、4つの中から1つ選ぶ問題です。

1.東京湾と鹿児島湾の面積はほぼ同じである。

2.東京湾に流入する河川の数は、鹿児島湾に比べて10倍多い。
3.鹿児島湾の海の色の方が東京湾の海の色より青い。
4.鹿児島湾で獲れる魚貝類の方が東京湾で獲れる魚貝類より数倍多い。

鹿児島湾と東京湾


答えは下の塗りつぶし文を選択し、色を反転してみてください。
 火山の爆発によって出来た湾である鹿児島湾には、青くきれいな海に関わらず、河川の流入数が少ないため、魚貝類が少ないのだそうです。一方、東京湾は2年で真水になる程の途方もない水量の河川(16河川)の流入があり、海の色は良くないが、鹿児島湾の30倍の魚貝類の収穫があるのだそうです。よって正解は4ということになります。


 本題ですが、牡蠣養殖再生に取り組む北上川の漁民は、以前は魚貝類を育てる養分は太平洋の沖の方から来ると思っていたそうなのですが、実際には反対側の方、つまり森林から養分を得ていたことが近年になってわかってきたということです。
 東京湾で言えば、そこに注ぎ込む川の背景は武蔵野の雑木林だということになります。
 つまり、生き物が住む、落葉する広葉樹林の森から流れ出る川には、沢山の養分が豊かにあると言うことで、「森は海の恋人」と言えるのです。気仙沼の河口で開始された牡蠣養殖の復活は、今は牡蠣を海に吊るす筏(いかだ)作りから開始されていますが、海から遠く離れた一関の山の植樹祭も例年のとおり実施されたとか。
 気仙沼の漁民の遠大な復興への取り組みに、スケールの大きさと生きた地理学を学ばせてもらった思いで、応援の想いをさらに強くした番組でした。



jmcblog at 08:30 
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