2014年03月26日

フェルメールの絵画と地図

 『真珠の耳飾りの少女』で有名な17世紀のオランダの画家フェルメールは、絵画の中に地図に関係するものを壁などのかかる装飾品としてですが、現存している作品30数点のうち9点ほどに描いています。地図や地球儀などが現在よりはるかに貴重であった時代に、大変多いと思います。

 タイトルから明らかに地図が描かれていそうなことがわかるのは『地理学者』で、地図、海図、地球儀、書物などが散乱し、右手にはディバイダが握られています。地図は地中海周辺のもので、北アフリカのみが見えているそうです。

フェルメール地理学者の絵
『地理学者』 ウィキペディア“フェルメールの作品”から


 また『士官と笑う女』の壁に掛けられた地図が目立ちます。その地図はウィレム・ヤンスゾーン・ブラウ1620に出版したホラント州と西フリースラントの地図で、同じ地図が『青衣の女』にも描かれています。

フェルメール士官と笑う女

『士官と笑う女』 ウィキペディア“フェルメールの作品”から


 また大きく地図を描いているのが、『絵画芸術』で、背景の壁にかかる地図は、南部のベルギーと別れる前のオランダの地図で、地図の中央にある大きな折りじわが南北両地域の境に当たることが指摘されています。

フェルメール絵画芸術

『絵画芸術』 ウィキペディア“フェルメールの作品”から


 そのほか、『水差しを持つ女』と『恋文』には、オランダの地図が、『リュートを調弦する女』にはヨーロッパ全土の地図が描かれており、『信仰の寓意』には地球儀が、『天文学者』には天球儀が描かれています。

 なぜこのように地図関係のことが描かれているかはわかりませんが、17世紀のオランダではこのような地図関係の装飾品は珍しくはなかったのかもしれません。

 当時日本は鎖国時代でオランダとしか交易がなかったので、何か日本的なものでも描かれていないか探したところ、『地理学者』と『天文学者』の中の男が、日本の着物のようなものを羽織っていることぐらいしか見つかりませんでした。

JohannesVermeer-TheAstronomer(1668)
『天文学者』 ウィキペディア“フェルメールの作品”から


 なお第1回地図地理検定(当時は地図力検定)に『絵画芸術』の絵の作者をこたえる問題が、4択ですが出題されました。



jmcblog at 08:30 
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