2014年03月19日

小説に「地図センター」が

わたしがいなかった街で本の表紙

 小説を読むのを楽しみにして通勤していますが、芥川賞候補に3度もなった柴崎友香女史の小説『わたしがいなかった街で』を先日読んでいたところ、その中に「地図センター」に行った話が載っていることを発見しました。驚くと同時に大変うれしく思いました。小説では、“2週間前に、池尻大橋のあたりをバスで通るときに見えて気になっていた「地図センター」に行って、広島の昔の地図を探したが、母方の祖父がコックをしていたと聞いたホテルの名前は結局どの地図にも載っていなかった・・・”と言う文書が載っていました。「国土地理院」と言う言葉が出てくる小説には、村上春樹の『ノルウェイの森』や『蛍』、さだまさしの『眉山』、内田康夫の推理小説などがありましたが、「地図センター」が出てきたのは初めてした。単に名前が出てきたのではなく、池尻大橋云々とリアルに地図センターの場所が示されており、しかも見ただけでなく気になっていたところに訪ねて地図を探したことまで書かれていることから、実際の彼女自身地図センターに来られたものと思われます。

この『わたしがいなかった街で』の中には、米軍写真を使った大学の授業のことも載っていました。昭和22、3年頃の大阪を写した米軍写真で、彼女の小学校の校区は戦災で焼けてしまったところがわかり、焼け残っていたところが隣の小学校の校区なのがわかったそうです。それが今では、隣の校区は長屋や古い建物が多く道幅の狭い状況が、自分の校区は市営住宅の団地や新しい家や工場が並ぶ、幅の広い道が規則正しく交差しており、“何十年経っても、今も、はっきりと街の形に一目でわかるように、(米軍写真では)分かれていた。”とありました。米軍写真が単に記録としてではなく、その後の歴史をも示していることを教えてくれていました。なお彼女は大阪府立大学出身なので、そこで米軍写真を使った授業が行われていたのかもしれません。



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