2013年10月28日

2万5千分1地形図のリニューアル(2)

前回は新しい地図はどこが変わったのかについてのブログでしたが、今回はリニューアルの経緯(なぜ変えたのか)と電子地形図25000との関係(デジタルデータと紙地図の関係)について解説します。

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1地形図は、全国をカバーする最大縮尺の地図として、50年ほど前から整備が進み、30年ほど前に全国整備が完了し、その後修正や更新が繰り返されてきました。その間いくつかの記号の廃止や追加がありましたが、地図の様式はほとんど変わらず、最も基本的な地図として親しまれてきました。今ではパソコンや携帯、カーナビなどでデジタルの地図が花盛りですが、山登りや教育、行政など依然として紙地図も広く使われているところです。

このように、デジタル地図のニーズが高まる中、紙地図のニーズも変わらずあるため、国土地理院では限られた予算の中でアナログもデジタルも含めた全体の作成工程を見直し、効率化・合理化を図る必要に迫られていました。

 平成216月に発表された「基本測量に関する長期計画」では、「地図等により国土を表す際の基準となる基本的な地理空間情報として、電子国土基本図等を整備する」と記述され、地図情報とオルソ画像、地名情報で構成される方針が示されました。

平成2310月に発表された「フレッシュマップ2011」や平成2411月に発表された「フレッシュマップ2012」では、まずベクトルデータである電子国土基本図を整備・更新して、これを基に「基盤地図情報」、「電子国土Web」、「数値地図(国土基本情報)」、「電子地形図25000」などの形で提供していくこととされました。
 印刷図の更新についても、電子国土基本図から作成する方法に順次移行して、平成25年度半ばから刊行を開始することとされました。

 このように、統合された地図作成体系では、電子国基本図が一番基となるデータとなります。その作成・更新には地方公共団体等の協力も得て、都市計画区域では縮尺25百分1に相当する精度、その他の区域は25千分の1の精度で、日本全国をシームレスにデータベース化しています。また、更新は市町村単位等で面的に更新する他、道路など変化した部分だけ項目単位で更新し、できるだけリアルタイムに近い形で更新されることを目指しています。

 一方、25千分の1地形図(多色刷)印刷図は、電子国土基本図から作られるわけですが、印刷図という性格から電子国土基本図が更新されても連動して直ちに更新されるわけではありません。従って、最新の地図画像データが必要な場合は、電子地形図25000をご利用頂き、印刷図が必要な場合は情報が多少古い可能性があることを了解して地形図を購入して頂くことになります。

しかし、これまでは地図の在庫がなくなった場合に、同じ原版から補給印刷していましたが、地形図の作成方法の変更によって、補給印刷の度に最新の電子国土基本図から印刷できるようになりました。従って、印刷図もこれまでよりは新しいものとなります。

 また、電子国土基本図が都市部では25百分1の詳細情報を持っていることから、これから作られる地形図も詳細な情報を表現しなければならなくなりました。そこで、平成242月から平成257月まで設置された「電子国土基本図のあり方検討会」で、使いやす表現方法が検討され、多色刷りによる多彩な色表現を用いた図式が決定されました。

 このように、紙地図としての25千分の1地形図(多色刷)、デジタルデータの電子地形図25000や電子国土基本図など、多様な形態で提供されるようになり、それぞれの特徴もあるので、必要に応じて使い分けて頂ければと思います。



jmcblog at 11:22 
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