2013年09月30日
ノーベル賞候補村上春樹の文学と地図づくり
10月のノーベル賞の受賞者の発表が近づくと、ここ数年日本で一番ノーベル賞に近い人と言われてくるのが村上春樹氏です。2009年から2010年に3分冊として出された「1Q84」やこの春出された「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」でも、村上春樹の独特の文学の世界を作っており、その反響は世界的にも大きく、今年もノーベル文学賞の呼び声が高い人物です。
ところで彼の小説に中には地図関係のことを述べているものがいくつかあります。
「ノルウェイの森」は今から約25年前の1987年で、上下で430万部を売る大ベストセラーとなったものです。この本の主人公の友達に、“突撃隊”とあだ名のついた人物がいますが、彼は国立大学の地理学を学んでおり、卒業したら国土地理院に入って地図を作りたい、旨の発言をしています。
またその後1999年に出された短編の「蛍」の中にも同様な場面が出てきますので、実際に彼の周辺にそのような人物がいたことが考えられます。国土地理院には、村上春樹の年代(1949年1月生まれ)の職員はもう退職していますが、登場人物に似ている人はいない模様です。
また1992年から1995年に出版され第47回読売文学賞を受けている「ねじまき鳥クロニクル」は、3分冊と長い小説ですが、その中で、地図つくりの話が載っています。それは合わせて50ページを超える分量に上っている“間宮中尉の長い話1”、“長い話2”の段落の中にです。その中では、間宮中尉は、大学で地理を専攻し、旧関東軍参謀本部の地図を専門とする兵要地誌班に所属し、満州の地図づくりのほか、旧満州での調査活動を行った話が語られており、満州国西部国境付近の地図作成の時にモンゴルに越境してしまった話なども加わっています。
今年こそノーベル文学賞を、と願っています。