2013年04月19日
最初の一歩
本日4月19日は「地図の日(最初の一歩の日)」です。1800(寛政12)年閏4月19日、伊能忠敬は蝦夷地の測量に出発しました。
伊能忠敬(1745-1818)は(読者の方がよくご存じとは思いますが)、50歳で隠居した翌年の1795(寛政7)年から、幕府天文方の高橋至時に師事して測量・天文観測などを学んだうえで、1800(寛政12)年から1816(文化13)年まで、足かけ17年をかけて全国を測量し、はじめて日本国土の正確な姿を描いた大日本沿海輿地全図(伊能図)が、歿後の1821(文政4)年に完成しました。
2001(平成13)年、アメリカ合衆国ワシントンDCの議会図書館に伊能図模写本があることが判りました。伊能大図と呼ばれる比較的大縮尺で精繊な表現の地図です。(一財)日本地図センター『アメリカにあった伊能大図とフランスの伊能中図』(2400円)は米国議会図書館所蔵伊能大図の大半を鮮明なカラー印刷で掲載しています。
下総国香取郡佐原村(現・千葉県香取市佐原)の伊能家の婿養子となった三郎右衛門(後の忠敬)は、50才で家督を長男に譲り隠居するまで家業の醸造や水運に従事し、また幕府と交渉し、水運の拠点としての佐原河岸*の公認を勝ち取るなど、村の有力者としても活躍しました。幕府との交渉の過程で地図の重要性を認識したともいわれています。
香取市佐原には、伊能忠敬旧宅と伊能忠敬記念館があります。伊能三郎右衛門が佐原河岸の繁栄に尽力した状況等については、千葉経済大学名誉教授の川名登さんが研究成果をとりまとめ、1982年に平凡社から『河岸に生きる人びと』として刊行されました。この研究成果は、千葉県立関宿城博物館の常設展示にも活用されています。
* 河岸(かし): 河川の岸にある川の港。船着場のある場所を指すだけでなく、河岸問屋などの流通機構や、その機能を持つ集落を含めての呼び名(川名登, 1982 から)。