2013年04月09日

電子基準点とGNSS

 国土地理院が全国約1200点以上設置している電子基準点は、我が国の国土の位置を決定する測量の基準点として広く利用されています。 外観は高さ5mのステンレス製の太い柱で、概ね20〜30km間隔で学校や公共施設の敷地に設置されており、目撃された方も多いでしょう。

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 電子基準点のいろいろ. 
国土地理院のWebサイトから引用.

 最上部の白い半球状のドームの中に測位衛星からの信号電波を受信するアンテナがあり、胴体内部に受信器と通信機器があります。基礎部には電子基準点付属標と呼ばれる金属標が埋設されており、三角点と同様な利用ができます。さらに、この付属標に近傍の水準点から直接水準測量を行って二等水準点相当の高精度な標高値を与え、水準点としても利用出来るものもあります。

 この4月1日、国土地理院から「全国の電子基準点で観測した(引用者補完:GPSに加えて)準天頂衛星(日本)及びグロナス(ロシア)のデータ提供を開始します。昨年7月から東北地方などで先行提供を開始しましたが(全国の15%をカバー)、平成25年4月1日に東日本のデータ提供を開始し(同40%)、5月10日を目途に全国のデータ提供を行う予定です。」という発表がありました
〈 → 国土地理院の発表資料

 GPSはGlobal Positioning Systemの略で、上空約2万km の軌道を周回する測位衛星の電波信号を利用する測位システムのひとつであることは、よく知られています。アメリカ合衆国の国防省が運用し、測位信号は全世界に無償で公開されています。民生向きに使える衛星測位システムが長らくGPSだけだったので、これが一般名詞のように使われてきましたが、近年はGNSSという用語が使われるようになってきました。

 GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略で、いろいろな衛星測位システムの総称です。今世紀に入ってから、ロシアのГЛОНАСС(GLONASS)の再構築が進み、日本の準天頂衛星(QZSS)やEUのGalileoなど各国の衛星測位システムの構築も始まり、測量機器も各システムに汎用できるものが主流になってきました。

 衛星測位では、観測点から最低限4個の測位衛星の電波を同時に受信できる(=衛星が同時に見える)ことが必要です。衛星の軌道配列はそれを配慮していますが、実際は樹木や建物で遮蔽されることもあります。多くの衛星が共通に利用出来れば、同時に見える衛星も増え、測位精度の全般的な改善につながります。国毎に独自に使うよりも、技術情報を開示して共用する方がお互いに得をするという、国際協力の好循環のようなお話しです。

 電子基準点と標石のみの三角点との大きな違いは、観測装置が基準点に組み込まれていることで、自身の位置を常時連続的に観測していることです。このことは、地殻変動が活発な日本列島にあってきわめて有用です。同様の連続観測施設は、外国にもありますが、日本列島ほど高密度に展開されている例は殆どありません。
 電子基準点網の整備は、測量の基準としてだけではなく、地殻変動の連続的な監視が大きな目的でした。これによって火山噴火の推移の予測精度が高まり、北海道の有珠山では2000年噴火直前の住民避難に貢献しました。また、測量の基準としても、地殻変動の影響を補正する情報の提供が可能になっています。
〈 → 国土地理院「平成25年3月の地殻変動について」〉
〈 → 国土地理院セミ・ダイナミック補正


000027552 電子基準点の地図記号は、三角点の記号と電波塔の記号とを組み合わせた図柄でその機能を表しています。なお、地形図や地勢図で場所を確かめて見学するときは、敷地の管理者の許可を得てください。国土地理院地図と測量の科学館の傍にある「つくば3は最も気軽に見学できる現役の電子基準点です。


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