2013年02月22日

立川断層を観てきました 〈追記あり〉

 2月8日(金)9日(土)に、立川断層のトレンチ調査の公開があったので、観てきました。

 立川断層は武蔵野台地の西部を横切る活断層で、東京都青梅市から立川市を経て府中市まで、北西−南東方向に全長約20kmあります。埼玉県入間郡名栗村から青梅市にかけての名栗断層と合わせ、政府の地震調査委員会の長期評価では「立川断層帯」と総称されています。過去の平均的活動間隔は約1〜1.5万年、今後100年内の地震発生確率は2〜7%、発生地震の規模はマグニチュード7.4程度と評価されています。

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 都市圏活断層図「青梅」 国土地理院(1996)

 立川断層の発見者は、国土地理院の技術者です。1970年代の中頃、土地条件調査で武蔵野台地の地形について空中写真を使って判読しているとき、段丘面を切る直線状の斜面を見出し、これを「立川断層」と名付け学術雑誌に報告しました。その後、東京都立大学(現・首都大学東京)の山崎晴雄さんが、この断層に沿って地形・地層を精力的に調査し活動履歴を明らかにされました。

 今回の公開は、文部科学省のプロジェクト立川断層帯の重点的調査観測の一環として、東京大学地震研究所が実施している地表付近の構造や活動履歴を推定するためのトレンチ(溝掘削)調査です。立川断層のほぼ中央部、自動車工場の跡地で、現在は宗教法人が管理している用地を借り受けた掘削したということです。

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 写真のように、立川段丘を構成する礫層を変位させた断層露頭が現れていました。調査結果は、地震研究所ほか大学の合同調査チームから発表されるはずです。現地には、調査チームによる観察結果の速報的な説明盤も掲げられ、これまでの立川断層像の再考を迫る知見が得られつつあることを伝えていました。

2013年3月28日追記
 本日、このトレンチ調査を行った合同調査チームから調査結果を訂正する発表(PDF:6.1MB)がありました。
 当初の発表では、立川礫層には撓曲崖変形にみあう構造が見られないにもかかわらず、ズレを現したとみられる縦方向にはさまった岩片(上写真の中央やや左下の淡色の箇所)がみられたことから、横ずれ活動の可能性も指摘されました。しかし追加調査の結果、この変形は、以前この地に在った自動車工場(都市圏活断層図の基図に当時在った工場が描示されています)の基礎工事の跡である可能性が高く、この地点では、
「立川礫層を切る明瞭な断層は、認識できない。」
「したがって、榎トレンチ(引用者註:このトレンチの名称)の結果として、立川断層は横ずれ断層であるとした判断は、成立しない」
(「」内は公表資料から引用)
と、まとめられています。なお、誤解のないようさらに追記しますが、断層変位ではないことが判ったのは、この榎トレンチ地点でのことであり、立川断層の活断層としての評価は(今のところ)変りありません。
 東京都西部の地震防災対策の根幹に関わる知見であり、速やかな訂正発表は、高く評価されるべきでしょう。また、上記見学会に来ていた土木地質の専門家からの指摘が、追加調査を行う契機となったことから、学際的な調査の重要性が再認識されたものと思います。
〈追記のみjmctsuza〉

〈jmcseno〉
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  《都市圏活断層図》



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