2013年01月17日

『地震の記憶』を記録する

 1995年1月17日未明、明石海峡付近の地下14kmを震源とするマグニチュード7.3の地震(兵庫県南部地震)が発生し、神戸市と淡路島北部とを中心に最大震度7の強い地震動にみまわれ、死者・行方不明者6千人を超える顕著な災害が生じました。災害の甚大さから、政府(村山富市首相)は、この災害を「阪神・淡路大震災」と呼称し復旧・復興施策にかかわる文書に用いることを閣議決定しています。

 兵庫県南部地震 / 阪神淡路大震災については、このブログでも2年前に 『地震の記憶』 という表題で掲載しました。

 1995年兵庫県南部地震では、地殻変動の観測から、六甲山麓から淡路島北部にかけての地下で、全長約50kmの断層群が活動し1〜2m程変位したとみられています。
 地殻変動の観測手段として、それまで三角測量や水準測量が行われてきましたが、この頃から電子基準点観測や干渉SARの成果が使われるようになってきました。ここに引用したのは、日本初の本格的な地球観測衛星JERS-1(ふよう1号)に搭載された合成開口レーダ(SAR)が、兵庫県南部地震前後に観測したデータを国土地理院が干渉解析し、地震時の地殻変動の面的な分布を明らかにした画期的な成果です。

JERS-1
 1995年兵庫県南部地震に伴う地殻変動を捉えた干渉SAR画像
 (国土地理院の干渉SARサイトから引用しました。)
 六甲山地が神戸市街に対し数十cm衛星に近づいて(隆起して)います。

 SARデータは、軌道を航行する衛星から一定幅で発信された波長約24cmのマイクロ波が地面から跳ね返ってきたもので、地表を面的に捉えています。何かの原因で地面の高さが変化した前後に、同じ軌道から同じ地域を観測したデータを合わせると、衛星と地面との距離変化の差が波長との一定比率に対応した干渉縞となった画像が得られます。精度は数cmで、衛星〜地面の視線方向の変化成分しか判りませんが、他の測量方法では難しい広域に連続した面データが得られるため、地殻変動だけでなく地盤沈下あるいは地すべりの監視などにも応用されています。

  国土地理院が定常観測に用いてきた地球観測衛星ALOS(だいち)は、2011年東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動を、東北地方から中部地方にかけての広域で捉えた後、力尽きたように運用停止してしまいました 〈⇒ 国土地理院による解析結果 (PDF)〉 。いま、(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、干渉解析用の合成開口レーダを積んだ後継機 ALOS-2 が今年打上げを目指して開発中です。

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