2012年12月21日

昭和南海地震

 1946(昭和21)年12月21日4時19分ころ、潮岬南方沖の南海トラフ付近を震央とするマグニチュード(Mj)8.0の大地震が発生しました。海底のフィリピン海プレートが日本列島を載せたユーラシアプレートの下に沈み込む境界の断層が活動し、大きな地震動と津波とが南西日本一帯を襲いました。昭和南海地震です。

 駿河湾・遠州灘から四国沖にかけての南海トラフに沿って、東に隣接する海底では2年前の1944(昭和19)年12月に昭和東南海地震(Mj7.9)が発生しています。戦争で疲弊していた国土を、巨大な自然災害が相次いで襲ったのです。南海地震・津波による死者行方不明者は1330人、特に空襲を受けていた高知市の被災が著しかったと伝えられています。

 南海トラフを震源域とした大地震は、歴史時代だけでも概ね100〜150年くらいの間隔で繰り返し発生していることが知られています。政府の地震調査委員会が2001(平成13)年に公表した『南海トラフの地震の長期評価について』(PDF:9.6MB)のなかで、確実な歴史資料が得られた5時期の地震について詳しく記載しています。各時期の地震は次のとおりです。

・1498年(明応):南海(資料なし)・東南海(8.3)
・1605年(慶長):南海+東南海(7.9)・津波地震?
・1707年(宝永):南海+東南海(8.6)・同時発生
・1854年(安政):南海(8.4)・東南海(8.4)・1日後
・1944〜1946年(昭和):南海(8.0)・東南海(7.9)・2年後

 東南海地震が起きると、同時または直後に南海地震が連動して発生するパターンが見てとれます。宝永地震は、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の発生まで日本史上最大の地震とされてきました。また、宝永と安政の地震では震源域が駿河湾海底(駿河トラフ)におよんでいたと考えられています。

 地震調査委員会によると、次の南海地震が2001年の後40年間に発生する確率は60%程度と試算されています。これまでの発生間隔からみて、おそらく今世紀半ば頃までには確実に発生するでしょうから、いまから慌てずに備えておくことが肝要です。 

nankai_f1
 南海トラフの概略位置図.(地震調査委員会, 2001から)
 領域X:南海地震の震源域,領域Y:東南海地震の震源域

Home_N



jmctsuza at 04:19 
コラム | 防災
記事検索