2012年11月06日
古地図ガール時層地図と出会う
「デジタル地図」か「紙地図」か..。無条件で地図記号を覚えさせられ、「地図は『読む』ものダっ!」と教えられてきた(jmctsuzaも含まれる)世代は、ともすれば両者を対立的にとらえてしまいます。しかし、若い世代はちがいます。全く気にすることもなく両者を併用し使い分けています。
衿沢世衣子さんによる『ちづかマップ』(小学館)は、いま自然体で地図を楽しんでいる若いひとたちが描かれたコミックです。
主人公・鹿子木ちずかは、古地図を片手の街歩きが大好きな女子高生。限られた小遣いをやり繰りして、やっと手に入れるのは『明治41年調査東京市日本橋区全圖』や『江戸切絵図』。売れない絵描きの先輩、同級の草食系らしき男子、何でも知っていて電子書籍も使いこなす渋いお祖父さんなどが主な登場人物。
第二話、草食君が「じゃーん」と差し出すのは東京時層地図。携帯端末(iPhoneやiPad)に、明治から現代までの地図や地形段彩図などを切り替え表示し、東京市街の変遷や地形を知ることができる地図アプリです。作中で「iPhone神アプリ」と評してくださった作者の衿沢さんには感謝いたします。
時層地図をみて驚きのあまり、主人公は固まってしましますが、すぐに江戸切り絵図を取り出し、友達同士で両者を見比べながら、お茶の水(第二話)や水元公園や堀切(第三話)を散策します。本ブログの「見にウォーク」シリーズみたいですが、漫画だけあって、現地の風物がビジュアルに伝わってきます。
取材し作中に登場させた古書店や洋菓子店などは、コラムとして改めて紹介され、作者の律儀さが伝わってくるとともに、実用的な散策ガイドとしても役立ちます。今どきの女子高生たちが繰り広げる「ユルい」お話しに同道して、肩の凝らない街歩きを楽しみましょう。