2012年09月21日

“振り子時計”で経度を測定 (1)

 明治の近代測量開始以前に作成された江戸期の地図に経、度線が表現されているものがあります。この経度線は果たして実測に基づいた線だったのでしょうか。

pendulum 伊能忠敬が全国の測量に持ち歩いた測量器具の中に「垂揺球儀(すいようきゅうぎ)」という振り子時計があります。現在、伊能忠敬記念館に展示されています。これは経度の測定に用いるため、1日の時間や日食、月食の始まりから終わりまでの時間などを測ったものです。さて、どのような原理で振り子時計を使って経度を得たものなのでしょうか考えてみましょう。

 地球は1日かけて一回転する極めて正確な時計です。この地球上で我々の生活は太陽の動きに従って営まれています。太陽が我々のいる真南の方向を通過(南中)した瞬間、これを地方太陽時における正午と呼んでいます。日本のどこに住んでいるかによって太陽が真上に来る瞬間は異なりますので、標準時でみれば、それぞれその時刻は微妙に違ってきます。
 忠敬は旅先でこの南中時刻から日食や月食などの天文現象が生じるまで、時計の振り子が何回振動したかを測りました。これは日本のどこにおいてもこの天文現象の瞬間を見ることができるからで、この現象を利用して大阪や京都でも予め予報に基づいて連絡をとりあい、この日を待って同じ測定を行いました。

 さて、伊能忠敬は、振り子時計で経度をどのくらい測ることができたのでしょうか。次回に続きます。
 
 (script by jmchako)
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