2012年07月10日

地図コレクター

  昨年(2011年)秋に亡くなられた作家・北杜夫さんは、少年時代から昆虫が好きで、いくつかの作品のなかで、作者がモデルとおぼしき主人公の想いを象徴させるように昆虫を登場させています。また、そのものずばり『どくとるマンボウ昆虫記』(1961)という著書もあります。北さんが学ばれた東北大学では、理学部自然史標本館で4月28日から6月17日まで(すでに終了しましたが)『追悼・北杜夫 どくとるマンボウ昆虫展』が催されたことを、地図センターのメールマガジンで5月頃にお知らせしました。この展示会では、北さんが採集された昆虫標本や、使用されていた採集用具などが展示されたそうです。

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 北杜夫『どくとるマンボウ昆虫記』
 新潮文庫,昭和41年発行.カバーデザインと解説は串田孫一.

 『どくとるマンボウ昆虫記』は、いわゆる「どくとるマンボウ」シリーズのエッセイ集であすが、昆虫に関する博物誌としても十分に価値の高いものといわれます。その最初の章では、いろいろな蒐集家の行動が面白おかしく描かれています。何に取り組むにしても、先ずその対象を観察または採集・蒐集し、名前を付け分類することから始まります。
 少年少女時代に始めた蒐集も、途中で興味を失ったり体力的に息切れがして続かなくなるひとも多く、中には投機的な方向に進むひともいますが、好奇心と想像力を持続させ、その関係の職業に進んだり、アマチュアながらプロを凌ぐような貢献をなすひともいます。
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  このブログの読者は、多かれ少なかれ、機会をみつけては地図を集めている方も多いのではないでしょうか。地図センター発行の地図中心』通巻478号(2012年7月号)は、地図蒐集家を特集しました。題して「お宝発見!地図コレクターの世界」。同誌に連載中の2つのシリーズ、鈴木純子さんの「絵葉書の地図コレクション」、山下和正さんの「古地図ワンバイワン」。この2つの連載が、双方ともこの号でちょうど第100回を迎えたことから、これを記念して企画しました。

 2つの連載では、歴史的に貴重な資料や面白い地図がカラーで紹介され、これを楽しみに定期購読されている読者も多数おられると思います。連載の著者である鈴木さん・山下さんに加えて、井口悦男さん・清水靖夫さん・富原道晴さんら、『地図中心』誌でおなじみの、大の地図好きの方々に集まっていただき、地図センター参事役で地図コレクターでもある長岡正利の司会により、地図収集の楽しみについて語り合っていただきました。対談記事は、まさに談論風発。「もっと凄い話もあったのでは?」と想像しながら行間を読む楽しみもあります。

 この特集に登場する地図コレクターは、座談会出席者のほか、蘆田伊人さん、岩田豊樹さん、大塚隆さん、大矢雅彦さん、中村拓さん、藤本一美さん(50音順)です。いずれも、地図学や地理学の分野で、十分に実績を築いておられる方々なのですが、その好奇心、想像力、そして何よりも行動力には、全く敬服してしまいます。

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