2012年06月15日

地図と測量の科学館

 つくば研究学園都市へは、多くの人々が訪れていますが、注目度が高いのは、JAXA筑波宇宙センター、地質標本館、そして地図と測量の科学館でしょう。cover477
 地図中心2012年6月号通巻477号)の特集は「地図と測量のサイエンス」。地図と測量の科学館を中心に6月3日測量の日と併せた内容です。

 国土地理院の構内にある地図と測量の科学館については、読者はすでによくご存じとは思います。国土地理院による常設展示施設として、1996(平成8)年6月に開館しました。地図を収集し所蔵する資料館としては、それまで岐阜県図書館 世界分布図センター(現・郷土・地図情報担当)がありましたが、地図作成に欠かせない測量と併せた展示館としては、日本ではじめてのものです。
 
 2階まで吹き抜けの入口ホール(ラウンジ)の床面には、日本列島空中散歩マップ(縮尺1/10万の日本地図)が敷かれていて、その上を歩いて見ることができます。十分に清掃されているので、座り込んで見入っているひともいます。専用の赤青メガネで見ると地形が立体的に浮かび上がってきます。

 2階には測量・地図の歴史や、地図とくらしとの関わり、いろいろな測量機材などが揃う常設展示室と、企画展などを行う特別展示室があります。

 屋外展示地球ひろばは、直径2mに切り取った球面上に1:20万地勢図の画像を貼りつけた日本列島球体模型、空中写真撮影に活躍した航空機「くにかぜ」(初代)、三角点や水準点などのいろいろな標石などが、ひろびろとした芝生の間に展開しています。駐車場との間にある銀色の柱は電子基準点。これは一見すると展示品のひとつのように思えますが、「つくば3」と名付けられた現役の基準点で、てっぺんのレドームに内蔵されたアンテナは、測位衛星からの電波を常時記録し、国土地理院内の測地観測センターにデータを送っています。

 地図と測量の科学館は、いまのところ公式な「博物館」ではありませんが、多くの博物館と同様に、常時展示してある事物の他に、貴重な古地図類が特別収蔵庫に保存されています。古地図研究家としても国際的に知られている建築家の山下和正さんに、今回の特集号のため特別収蔵庫を取材いただき、収蔵されているいくつかの古地図について紹介していただきました。

JICA_participants2011
 国土地理院では外国からの技術研修員を毎年受け入れ、地図センターが研修の運営を担当していますが、平成23年度の8名の研修員の方々にお願いし、地図と測量の科学館の感想を書いていただき、その日本語訳を特集記事のひとつとして掲載しました。今たまたま日本人が教える立場にありますが、研修員は母国で選ばれた優秀な方々であり、彼ら彼女らの深い経験と知識に、こちらも教えられることは少なくありません。
 
 さて、展示をひととおり見学したら、休憩をかねて売店に立ち寄ってください。地図だけでなく地図を使ったガイドブック、地図学や地理学の入門書や専門書、地図記号手拭いなどのグッズが揃っています。

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