2009年12月18日
地形図はどのようにして作られる(8-5)
地形図に表示される対象物はすべて記号化されます。 今回は、表示する対象が実形より省略した形で表現される場合について述べます。
一般に表示対象を誇張(修飾)したり、省略(簡略)したりすることを地図の作製用語では、総描(一般化)と呼んでいます。では、総描はどのようにしておこなわれるのでしょうか。これにも、いろいろの約束事があり、次の原則によって行われます。
1. 実際(現地)の形状と相似性を保つこと。
2. 現状の特徴を失わないこと。
3. 必要に応じて、形状を誇張しても、現況を理解しやすく表現すること。
4. 極端な総描を行ったことにより、現況との相似性を失わないこと。
例えば、日光の 「いろは坂」 のヘアピンカープをすべて2万5千分1地形図に描き表すことはできません。どうしても省略されます。 この場合、カーブの始まる点と終わる点を正確に図上にポイントし、この間は相似性を保ちつつ、現場の景観が理解できるように編集されます。また、都市部の市街地道路をすべて描き表すこともできません。事実、市街地内の道路 (街路) は道路幅が1.5m以上であれば、 図式上では、すべて表示の対象となりますが、 道路幅が0.4mm (実幅10m) 未満の道路はすべて0.4mmにして表示することが図式では規定されています。 これで分かるように、どうしても省略される道路があります。 この場合、市街地の道路網の景観が損なわれないように特徴を捉え、市街地内の道路は取捨選択されていること、道路網の景観を表していることをご理解ください。
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