2009年10月23日
シリーズ測量遺産(6) 開拓使三角測量勇払基点
開拓使三角測量勇払(ゆうふつ)基点
(苫小牧市字勇払132番地49)
−北海道指定文化財 史跡
(昭和42(1967)年3月17日指定)−
開拓使は道路や鉄道建設、炭田や鉱山開発のため正確な北海道地図の必要性を痛感して1873 (明治 6) 年3月、米国人ジエームス・アール・ワッソンを測量長に命じ、三角測量法による地図作りを開始しました。ワッソンは当初石狩川上流域に基線を求めようとしましたが適地が得られず、 6月、 勇払と鵡川 (むかわ) 間に基線を設定、両基点に目標台と標石を建て、測量に入りました。
翌1874(明治7)年、ワッソンを継いだ米国人モルレー・エス・デーの指揮により、 勇払基線の本格的な測量が行われることになりました。
デーと日本人助手らは、 精密に測量するため、天文測量を実施し、勇払基点の経緯度を北緯42度37分34秒、東経141度44分46秒 とするとともに、8月に米国製機械の到着後、これを使用して勇払基点から鵡川基点への測量を実施し、 勇払基線の測定値を14,860.2646m としました。 未だもう一方の鵡川基点は、発見されていません。
この勇払基点は、 当時の最新技術を駆使した、わが国で最初の本格的な三角測量の基点であり、ここからは、多くの日本人測量技術者が育つなど、北海道史上ならびに、わが国測量史上貴重な文化財であると言えます。
掲載写真は、 山根 清一氏所蔵
北海道教育委員会・苫小牧市教育委員会資料より(http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/shogaigakushu/bunkazai/sankaku/sankaku.htm)