2009年09月04日
測量と防災
測量は、その時代時代における社会の要請とともに発展してきました。近年において阪神淡路大震災や有珠山の噴火災害を機に測量が防災に貢献することが期待されてきました。平成13年 1月から国で唯一の測量事業機関である国土地理院は中央防災会議の指定行政機関として、災害情報の収集・提供の役割を担っています。
これまでのわが国の測量は、歴史的な歩みから三つに大別することができます。
一つ目は、土地の所有や権利に係わる測量です。自分の所有する土地を正しく確定し、記録することは各々の国民が安心して自分の生活を維持し、他人に対してその権利を主張するために必要です。そのためには、まず確かな測量が行われなければなりません。記憶に新しい阪神大震災においても、復興にあたって個人の土地の境界をどう再現するかが大きな問題となりました。このような土地の所有、権利に関連する測量は重要な測量の一つで、社会の進展とともにますます重要性を増してきています。その種の測量の流れは、現在の土地台帳の測量(法務省)、地積測量(国土交通省土地資源局 / 旧国土庁土地局)等に係累しています。
二つ目は、行政上および防衛上の国土の実態把握のための測量です。 日本に限らずどこの国でも国家が形成され、他国との関係が出てくると、行政上や防衛上の理由により、国土の状況を把握することが必要になってきます。 全国的に統一された規格で、国土の状況を把握することは、国家として不可欠なことです。 伊能忠敬が作成した全国図や、陸地測量部の5万分の1の地形図等は、その成果であり、現在国土地理院が担当している基本測量がこの流れを引き継ぐものです。
三つ目は、土木技術と関連した測量です。東大寺のある平城京は、唐の都 「長安」 を模して建設された都市ですが、整然と区画された街並みは、測量の技術なしでは考えられません。このように、都市計画、築城、治水、農地の開墾等において土木技術と関連した測量技術が発展しました。土木測量といわれる測量の流れです。私たちの生活基盤を作り、維持するために必要な測量です。 公共測量といわれているものの大部分がこの分野のもので、国土交通省や農林水産省および地方自治体の所管となっています。
防災は測量の新たな四つ目の私達の安全な暮らしに貢献する技術として、社会でおおいに期待されています。
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