2009年08月14日
シリーズ測量遺産(1) 日本経緯度原点
測量に関する建造物および測量標のうち、文化財に指定されているものを選び、その歴史や機能を紹介します。
1.日本経緯度原点(東京都港区麻布台2-18-1)
−港区指定文化財(平成8(1996)年10月22日指定)−
日本経緯度原点 ( 写真) は、星を利用した天文測量により日本独自の測地系に基づいて、明治25年(1892年)に設置された我が国の位置の基準です。
この場所には、明治7(1874)年から海軍の観象台が置かれていましたが、明治21年になって、海軍観象台と内務省地理局天象台の天文観測業務が東京帝国大学に移管され、付属の東京天文台が置かれました。 明治25年、陸地測量部は東京天文台で天文測量に用いられる 「子午環(しごかん)」 の中心位置を日本経緯度原点と定めました。
日本全国の三角点の位置は、ここを基点として三角測量により決められたものです。その後、東京天文台は大正12(1923)年に三鷹へ移転しましたが、子午環跡は国土地理院が日本経緯度原点として引継ぎ、 現在もわが国の地図測量の原点として利用しています。 なお、大正12年の関東大震災の際に子午環は破壊され、その中心位置はこれより北微西に1メートル移動したことが地震後の測量によってわかりました。
日本経緯度原点のBL(経度・緯度)は、平成14(2002)年4月より、日本独自の日本測地系から世界共通の世界測地系に移行しました。このときの経度・緯度は、国際共同観測で行うVLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線電波干渉法)観測により正確に求められました。これを基準として全国の三角点の経度・緯度が新しく決め直されました。
◆日本経緯度原点の緯度・経度の値の変更(2002年4月)
| 日本測地系による 数字(旧経緯度) | 世界測地系による 数字(新経緯度) | 新経緯度― 旧経緯度 |
緯度 | 35度39分 17.5148秒 | 35度39分 29.1572秒 | +11.6424秒 |
経度 | 139度44分 40.5020秒 | 139度44分 28.8759秒 | - 11.6261秒 |


http://www.gsi.go.jp/kanto/ki8cgenten.html
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