2015年03月
2015年03月11日
2015年3月1日夜9時からのNHKスペシャル「史上最大の救出」〜震災・緊急消防援助隊の記録〜」で、東日本大震災直後の被災地における全国から集まった消防隊員の、主にヘリコプターによる救出の模様が放映されました。
3月11日は現地の飛行基地には入れず、12日にやっと基地に入れたものの、対策本部もてんやわんやのため、要救助者の情報が来ない現状から、現場判断で、手を振っているなどで飛行中に求められた人だけの救助しかできませんでした。それでも1日何十人と救助でき、それなりの活躍はされていました。2、3日これを行っていると、災害対策本部もやっと機能してきて、徒歩で救助に向かった消防隊員などからの情報により、要救助者のもとに直接飛べることとなりました。その時の反省点として、けがをして動けない人、家の下敷きとなりヘリコプターからは見えない人など、緊急に救助しなければならない人を見つけられなかったことが挙げられていました。
そこで必要なのは、生存者のいる可能性のある場所の絞り込みです。ほとんどの消防隊員が初めての場所ですので、土地鑑がありません。また災害前の地図も形状が大幅に変化しているのでそのままでは使えません。そこで、手を振れない要救助者を上空から探すにはどうするかが重要です。
昨年8月の広島の土砂災害の場合、この反省点から災害後すぐに空中写真を撮影し、災害前の画像データと比較することで、生存者のいる可能性がある場所を絞り込む地図を作成していました。空中写真の上に、被災前後の空中写真から解析した高さデータの差分を求め、赤系がマイナス(流失等)、青系がプラス(堆積等)として表示し、流出した家屋や堆積した土砂の厚さを図化したとのことでした。この地図を使って優先的に捜索するところを割り出すことができたとのことでした。NHKもこの「捜索支援地図」に注目していました。
「捜索支援地図」参考: 防災科研ニュース No.186 11頁
http://www.bosai.go.jp/activity_general/pdf/k_news186.pdf (PDFファイル)
現在多くの地域で航空レーザーなどで詳細な高さ情報が求められてきています。このデータを使って、大災害直後撮影した空中写真を迅速に解析することで、多くの命を救うことができます。「捜索支援地図」の迅速な作成が当たり前になることを期待しています。(M)