2014年08月
2014年08月08日
起伏に富んだ地形上に都市が築かれた、東京の地形を紹介する本は数多く出版されています。今回とりあげる書籍『地形のヒミツが見えてくる 体感!東京凸凹地図』(東京地図研究社 編・著)は、地形の起伏を色と陰影で表した「凸凹地図」を用い、東京とその近郊にみられる特徴的な地形をピックアップして紹介した一冊です。
7章から構成される本文のうち、1章では凸凹地形の形成概念や、各種地図の作り方、地形用語の解説といった、地形に関する基礎知識を養うコーナーになっています。2章以降は、東京を中心に関東各地の特徴的な凸凹地形の事例を紹介しています。東京23区内最高峰の「山」や、東京湾の埋立地内にある巨大な「台地」、丘陵地に開かれたニュータウンの地形や、各所に点在する「富士塚」など、数々の特徴的な凸凹地形をとりあげています。
全ページがカラー版で、文章よりも地図と写真の掲載割合を大きく取っているため、ただ誌面を眺めているだけでも楽しむことができる構成になっています。最近はウェブ地図でも地形の様子を無料で簡単に閲覧できますが、拡大すると細かい地形を読み取ることができないものが多く、地形をもっと知りたいという方には物足りなさを感じることも多いと思います。本書に掲載された凸凹地図は、いずれも縮尺が小さいものばかりなので、道路や街区レベルでの高低差を読み取ることができ、現地に行かずとも誌面上でその場所の雰囲気を想像することができます。これは地形好きにとって、大きな魅力と言えるでしょう。
厳しい暑さが続く今夏ですが、この本を片手に、凸凹地形をめぐる東京の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。 (T)
(2014年4月24日発行、価格1,880円+税)