2014年06月

2014年06月30日

 6月22日(日)、第21回となる「地図地理検定」(一般財団法人日本地図センター・公益財団法人国土地理協会 共催)を開催しました。
 今回も全国7都市の会場と、2つの団体会場にて一斉に行われ、一般・専門の2クラス合わせて延べ340名(一般204名・専門136名)の方が、地図や地理に関する知識や技能を競いました。
 
 東京会場(世田谷区・国士舘大学梅ヶ丘校舎)は、朝から続く生憎の空模様にも関わらず、一般・専門合わせて181名の方に足を運んでいただきました。

P1110338東京会場の様子


 13時開始の「一般」クラスは、4者択一方式の全25問で、地図記号や地形図の読み方といった地図に関する基本的な内容を中心に、今回は世界の国々の位置関係や国境に関する問題が多く出題されました。

 今回の地図地理検定における大きな変更点として、「専門」クラス(同日15時30分開始)における“記述式問題”の導入があります。これまでは4者択一方式50問で構成されていましたが、今回は4択式25問・記述式10問の計35問とし、単に知識を問うだけでなく、作図や読図などを通じて地図に関する技能を試していただく検定としました。

 

 以下に、今回の専門クラスにて実際に出題された記述式問題の一部を紹介します。


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問30問30 右の白地図について、解答用紙に以下の作図をせよ。なお。この地図の投影法は、ミラー図法である。また、一部を省略している。
(30-1)2016年夏季オリンピックの開催地である、リオデジャネイロの位置はどこか。地図上に×印で示せ。
(30-2)赤道を、地図上に―(実線)で記入せよ。



問34 「一般図」と「主題図」の違いは何か。100文字以内で説明せよ。


(答えは地図地理検定ホームページの「専門」の解答をご覧ください)
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 記述式問題は初の導入であるため、解答時間や難易度等を含め、検定委員会と事務局にて何度も議論を積み重ね、問題を作成しました。また、東京会場では一般・専門の両クラス実施後、参加者にアンケート調査をさせていただきました。
 アンケートによると、専門では記述式問題を導入したためか、「時間が足りなかった」という意見が多く寄せられました。これらの意見を踏まえ、多くの方々が広く地図に親しんでいただけるよう、よりよい地図地理検定を目指してまいります。
(T)



2014年06月18日

6月1日の朝日新聞朝刊では、このタイトルで社会面に載っていました。もちろん富士山頂は県境未確定で、今でも国土地理院の地図では県境は入っていませんが、国土地理院のネット地図(地理院地図)で、国内最高地点の剣ヶ峰は静岡県富士宮市と表示されることが、富士山研究で知られる明治大学非常勤講師である田代博さんが気付いた、と報じられました。田代先生は(一財)日本地図センター等が主催して行っている「地図地理検定」の検定委員長でもあります。

早速地理院地図で住所表示をさせると、下図のように静岡県富士宮市山宮と表示されました。

富士山頂1


 県境は、東側は小富士のところまでで、西側は剣ヶ峰付近までしか記入されていません。しかし、“静岡県富士宮市山宮”と表示されていました。国土地理院情報普及課によると、この表示機能帰属が未確定の地点は、近くの帰属が決まっている場所が表示され、「富士山の県境が確定したわけではない」と強調する、と掲載されていました。そのあと、山梨県富士山保全推進課も便宜的にどちらかの住所が示されても支障はない、と話していることも載っていました。

 6月4日の朝日新聞朝刊の社会面に、今度は山梨県知事の発言として、『富士山頂の“住所”表示「誤解を与える」』というタイトルで、3日の記者会見で、山梨県知事が「不適切」と語り、国土地理院に是正を求める考えを明らかにした、ことが載っていました。静岡県知事と山梨県知事は、昨年世界文化遺産に登録されたのを機に、今年1月山頂付近の5劼聾境を定めずに富士山の保全に協力していくことを明言していたことも載っていました。

 6月6日の同じく朝日新聞朝刊の社会面に、『富士山頂住所表示を停止』とのタイトルで、国土地理院はこの付近の住所を表示する機能を停止させたことがわかった、ことが載っていました。「富士山は特別な存在で国民の関心も高く、放置するのは適切でないと判断した」と説明したとも載っていました。

富士山頂2

6月4日以降、上記のような表示、すなわち剣ヶ峰付近は住所が表示されていなく、その下に“(付近の住所。正確な所属を示すとは限らない。)”が加わっています。この地区以外では、住所が今まで通り出るほか、( )書きの部分が加わることになっています。( )書きを入れるのは正確さを期すためでしょうけれども、永年地図に携わってきた私にとっては違和感があります。地理院の企画調査課長は、山梨県や関係自治体の意見を聞きながら、今後の対応を検討するという、とも載っていましたので、暫定的な処置だと思っています。まだ県境だから話し合いができますが、・・・・・。(M)

 



jmcblog at 08:00 
コラム 

2014年06月11日

 毎朝、「JR渋谷駅」まで電車を乗り継ぎ、さらに渋谷から田園都市線の「池尻大橋駅」近くの職場まで、約20分余りを徒歩で通っています。この徒歩での往復40分の運動は、貴重な時間であり、特に、都会の街路樹の新緑を眺めながらの往路は一日のはじまりとして、私はとても気に入った一時で急がずユックリと足を運ぶ毎日です。

 最近、ラジオで気に入った番組があり、これを録音し、イアホンを耳に、同じものを何度も聞くことがあります。すると今、耳にするこの話が、昨日は、これから200m程ずっと先の交差点で聞いたことを鮮明に思い出します。つまり、今日と昨日の聴いた同じラジオの話題が、違う場所で聴いていたことを思い出して、昨日との位置の違いを大変よく覚えていたことに不思議さを感じていました。

 そんなことをボンヤリ考えていた矢先、記憶と位置情報をテーマにしたNHKのテレビの番組がありました。これは、記憶と位置情報は、大変深い関係があるという番組で、地図や測量を生業としている当方としては、見逃せない番組でした。



その秘密は「場所細胞」の特性に起因しているということです。

ラットくんが登場します。ラットくんが空間の中を動き回るとき、脳の中で驚くべきことが起きていることが分かったというのです。

ラットくんが動き回るとき、ある場所を通るとある細胞が反応します。そして、また、10cm進むと今度、また、別の細胞が反応します。つまり、ネズミの場所細胞が場所一個一個を記憶しているのだそうです。そして再びそこを通るとアツ!ここ来たことあるある、ここで曲がるんだよね!・・と。

場所細胞


 「場所細胞」が動物で発達しているのは生き物として場所というものの記憶がものすごく大切であるからなのです。こちらに行くと餌がある、こちらに行くと天敵がいる。

この場所細胞なるものを生かせば記憶に残っているのを思い出すことができる。つまり、思い出し細胞!というわけです。

例えば アツ!何しに来たんだっけ!と思い出せない時も、元の場所に戻ると思い出したりしませんか?
 場所細胞は、その場所に差し掛かると勝手に思い出してくれる細胞です。ですから場所と関連づけて何かを覚えると、この場所を思い浮かべるだけで自動的に思い出されてきちゃう。これが、私がいつも不思議に思っていた今日と昨日との位置の違いをよく覚えている訳のなぞだったんです。

 ここでうれしい情報があります。
 それは、ロンドンのタクシーの運転手の脳を調べた研究の結果です。話題は脳の中の「後部海馬」の体積。これは、場所細胞が集まっているところで、その体積を調べると、長年タクシーの仕事をすればするほど増加しているという結果が出たのだそうです。何千何万の道と場所を覚えれば覚えるほど場所細胞がふえるというのです。つまり、年を重ねてもどんどん増え続けるということになるのです。こんな素晴らしい場所細胞という細胞を私たちは持っているのですから、大いにこの細胞の活用を今後考えていきたいものです。(H)



jmcblog at 09:51 
コラム 

2014年06月04日

4月24日の国土地理院のホームページに、“避難所等の地図記号を決定”とのタイトルで、国土地理院が、緊急避難場所や避難所(以下避難所等)を「地理院地図」などでわかり易く表示するための下図のような地図記号を新たに定めたことが載っていました。すなわち電子地図用の地図記号の出現です。多分初めてではないでしょうか。当面は地理院地図や内閣府の総合防災情報システムだけですが、広く電子地図への普及が期待されています。左側の場所の記号は、現在の避難所等で実際に掲示されている建物の記号と同じようなので親しみ易いのですが、右側の災害種別記号と組み合わせて表示されるので、少し複雑になっています。

避難所の地図記号修正付加
 なぜ避難所等の地図記号は電子地図用なのでしょうか。今回の発表では詳しくは載っていませんが、電子地図では避難所等の情報を速やかに表示し、変更があってもすぐ更新することができ、住民はスマホなどでいつでも最新の避難所等の情報を常に確認できるからだと思います。紙地図では、通常地図記号が2仍擁程度の大きさなのに、避難所等の地図記号は複雑なので5仍擁程度と大きくなくては表示できないこと、情報が固定化し、いざという時に現状の避難所等の情報を確認するのに不便だなどの理由があるのだと思います。

 この発表の2週間前の410日、国土地理院と国土交通省水管理・国土保全局及び内閣府(防災担当)の3者の連名で、「防災アプリの機能向上に向け公募を実施」として、“現在構築中の防災地図共用データベース(仮称)を活用して災害時の避難誘導等を図るための防災アプリ”の公募が始まりました。

 また次の日の411日には、国土地理院から「災害時避難誘導システムの共同実証実験業務」の企画競争の公示がありました。これは上記の公募された“防災アプリ”の機能向上を図るため、91日の防災の日でのデモンストレーション及び119日の和歌山県海南市での市民参加型の防災訓練での実証実験を効果的に行うための業務の公募です。

これらの動きは、昨年4月の災害対策基本法の改定を受け、市町村では避難所等を災害種別ごとに新たに指定・更新することが定められたことへの具体的な支援行動です。国として、現在の情報化社会に即した避難所等の情報の配信、取得、活用等を積極的に図っていることがうかがえます。地図にかかわる者として、この避難所等の情報が迅速に「地理院地図」に掲載され、広く活用されることを願っています。(M)



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コラム | 防災