2014年05月
2014年05月27日
まずは一枚のイラストを見ていただきましょう。
これは、とある日の「日本ハム×ロッテ」の試合の一場面。場所は札幌ドーム。テレビ画面をイラストにしたものです。
このイラストを見て何かお気づきではありませんか?
そう!左下スミになにやら白くて見覚えのあるカタチがあるでしょ?ほら、ピッチャーマウンドのセンター側の斜面ですよぉ〜。
もうおわかりですね。白く模られた北海道に。
でもこの「北海道マーク」、前からあったっけ???というわけで、そのあたりも含めていくつかの疑問点を株式会社札幌ドームに直接投げかけてみました。すると、とっても丁寧な回答を返してくださいました。
この「北海道マーク」は、2011年7月に行われた北海道日本ハムファイターズ(以下ファイターズ)戦のイベント『北海道祭り』の一環で実施されたのが始まりで、翌年の2012年からは全試合で実施されている企画なのです。北海道をフランチャイズとしているプロ野球チームとして、地元のファンからの熱い声援に応えたいとのファイターズの想いが形になったものです。
北海道の形のプレートにグランドキーパーがライン引きに使う石灰を振りかけて模っていて、この作業は1試合毎に行われています。登板選手によって描く位置を若干移動することもあるとか。投手の予告先発制を採用しているパリーグの球場ならではの計らいとはいえ、そこまで考慮しているとは驚きです。
ところで、テレビ画面を観ていると、「広告」「選手」「北海道」が実に絶妙なバランスでフレームに収まってます。北海道マークの実際の大きさは、縦約110cm×横約80cm。これはカメラに映すときれいな北海道の形になるようにきちんと設計された比率で、近くで見ると縦長な形になっているのです。
…なるほど。あの「北海道マーク」にはそんな「想い」と「工夫」が隠されていたんですね。ちなみに、札幌ドーム以外でもファイターズのホームゲームの球場ではこの「北海道マーク」が描かれています。
それじゃ、他の球場で同じ細工を施したらどうなるか?という好奇心にかられ、球場のある都府県の形を札幌ドームと同じようにピッチャーマウンドの斜面に配置してみました。
画像の掲示は省略しますが「Koboスタジアム」「西武ドーム」「東京ドーム」「京セラドーム」「甲子園球場」で試してみました。いずれの球場でもなかなか注目度が高そうなできばえになりました。ちなみに、東京ドームではすでにこの位置には、YとGを組み合わせた読売ジャイアンツのチームロゴが描かれています。
それから試しに「Koboスタ」では、「東北楽天イーグルス」のチーム名にちなんで東北6県の形を配置してみました。かなりアピール度が高まりました。
ご記憶の方も多いでしょうが、かつて野球中継はキャッチャーの後ろ側からのアングルが主流でした。やがて1980年前後から徐々にセンター後方からのアングルになり、現在ではそのスタイルがすっかり定着しました。
センターカメラからのアングルに当初は選手サイドからは不満の声もあったようですが、それ以上に視聴者には好評だったことと、何よりバックネット裏の広告が映し出されることにより、その効果を期待する企業にとっても、広告収入の増加による利益の向上につながる球団にとっても都合が良かったことが理由であることは否定できないでしょう。
それにしても、ピッチャーマウンドの傾斜面に北海道の地図を配した企画は、さりげなく、控えめではありますが、「究極の地元アピール」として今後他の球場でも採用される日が来るかもしれませんね。
野球好きの方も野球に興味のない方も、今度ファイターズのホームゲームを観戦する機会があったらピッチャーマウンドの「北海道マーク」を気にしてみてくださいね。そして「あっ、あれが・・・」とこのブログ記事を思い出しながら観戦すると、いつもより1.5倍ぐらい楽しい野球観戦になるかもしれませんよ。
最後になりましたが、「北海道マーク」についての質問に丁寧にお答えいただいた札幌ドームのご担当者の方にお礼申し上げます。ありがとうございました。(み)
2014年05月07日
文庫本10ページほどの短編ですが、頂点にある者が、ふとしたことで人間的な面を見せていることを書いた小説です。オランダ人と王の会話の中に、地図の本質も描かれていると思います。
この小説は、大正14年秋に太宰治が仲間と一緒に創刊した同人雑誌『蜃気楼』の11・12月合併号に発表されたもので、当時の中学校3年生の16歳の時でした。16歳でよくここまで書けるのか感心しています。
写真は太宰治生誕100年記念出版として平成21年5月に出された新潮文庫の『地図』初期作品集の表紙ですが、この中に「地図」など28作品収められています。この表紙から、「地図」が初期作品集の代表作だといっていることはうれしく思い、「地図」の代表的場面が世界地図であること納得できますが、オランダ人の首をはねるところが代表的場面であることは疑問が残ります。