2013年10月

2013年10月31日

 秋の地図地理検定1124日(日)開催されます。平成16年から開始された本検定は、これで第20回目を迎えます。


 さて、地図地理検定はどのような方々が受検されているのでしょうか。
 第19回受検者の例で見てみますと、一般クラスの受検者の職業別では、学生33.9%と最も多く、会社員が26.3%、教員5.3%、パート・アルバイト5.3%と続いています。

 専門クラスでは、会社員が35.9%と最も多く、学生21.2%、教員が7.8%、公務員7.0%でした。

 受検者の成績ですが、第19回受検者の例では一般クラスの合格点ラインを60点以上とし、81.4%の人が合格の認定を得ることができました。また、2名の100点満点者がおられ満点賞を獲得しました。なお、これまで、合格点のラインはその都度、田代委員長以下有識者6名からなる地図地理検定委員会で設定されていましたが、次回からは60点以上の成績を得た方は、すべて合格とすることになりました。

 専門クラスでは、74100点を1級、6072点を2級、4658点を3級として認定をしましたが、この級認定ラインはその都度、委員会で決定されます。


 また、「地図地理力博士」は96点以上または1級認定5回以上で取得でき、前回は1名の博士が誕生しました。検定開始以来、合計24名の博士が誕生しています。


 今回の申込締切りは、インターネットからの申込117日(木)振替払込・郵送による申込1114日(木)となっています。地図が好きな方、地理の知識に自信がある方、どうぞ奮ってご参加ください。



jmcblog at 08:30 

2013年10月29日

今回は3色刷りから多色刷りとなった印刷技術の変更について解説します。
 
 ポスターや写真などの印刷では、色の3原色(シアン、マゼンタ、イエロー)に黒を加えた4色で、あらゆる色を表現できます。これは、それぞれの色の濃度を下図のような網点に変換し、このパターンにインクを載せて4色を重ね刷りすることで、元の色を再現します。これをプロセスカラー印刷と言います。

AMスクリーン

 しかし、この方法ですと正しい濃度に対応させるためには、ある程度の大きさがないとだめなので、地図のように非常に細い線が多く使われる場合は、4色を重ね合わせた時に違った色になってしまったり、極端な場合は線が途切れたりしてしまいます。そこで、従来の地図印刷では、予め使用する色のインクを混合して作り、インクの重ね合わせではなく、ベタ塗りで画線を印刷する、特色印刷という方法がとられていました。

例えば25千分1地形図(3色刷)では、墨(黒)、褐(茶)、藍(青)の3色のインクを作り、ベタの線画の版にそれぞれの色のインクを載せて印刷することで、途切れや色ずれのない印刷を実現していました。

 新しい25千分1地形図(多色刷)では、多彩な色を使うので、それらを全てこの特色印刷で作ると、版の数も刷りの数も増えてしまい、コストが上がってしまいます。そこで、今回は、プロセスカラーで印刷する方式を採用しました。これが可能となったのは、最近の印刷技術の進歩によるもので、具体的にはFMスリーン技術と、CTP技術と呼ばれる技術です。
 
 FM
スクリーンとは、下図のような網点パターンで濃度を表す方式です。これに対して、従来の網点方式はAMスクリーンと呼ばれます。AMスクリーンは、網点の間隔(並び)は一定で、点の大きさで濃度を表します。これに対し、FMスクリーンは網点の大きさは一定で、点の密度で濃度を表します。

FMスクリーン

AMスクリーンでは、実際に細かい格子のスクリーンを原画像のフィルムにかぶせ、光を透過させると、原フィルムの濃度に応じて透過する光の量が変わり、網点の大きさが変わるので、写真工程で網点に変換できます。しかし、FMスクリーンのような網点を発生させるスクリーンは存在しません。そこで、元画像のデジタルデータからコンピュータで網点のパターンを発生させます。このソフトをドットジェネレータと呼びます。

ドットジェネレータでは、網点の並びもランダムにできるため、4色の版を重ねた時にモアレ縞が発生する心配もいりません。また、技術進歩によりドットの大きさを非常に小さくできるようになったので、細い線でも色の重ね合わせで表現できるようになりました。

 もう一つの技術進歩はCTP印刷です。これはComputer to Plateの略で、コンピュータのデータから直接印刷版を出力する技術です。製版フィルムを介したこれまでの写真工程では、像のにじみなどで、非常に小さいドットは再現が困難でしたが、CTPで可能になりました。また、フィルムのズレや伸びがないため、位置合わせが非常に正確で、地図のような細い線でも、色ズレを起こさず正確な印刷が可能となりました。

 従来の25千分1地形図は3色刷りだったので、版の数が少なく低価格でしたが、新技術の多色刷りへ移行したことで価格が上がってしまいました。しかし、まだ計画にはありませんが、20万分1地勢図(6色刷)、50万分1地方図(7色刷)、100万分1日本(9色)、500万分1日本とその周辺(9色刷)や、主題図など色数の多い地図では、多色刷りの方が安くなる場合もあります。

12月1日にはさらに10面刊行される予定と聞いています。今後の技術改良や、国土地理院の新刊の計画に期待しましょう。



jmcblog at 09:30 
コラム 

2013年10月28日

前回は新しい地図はどこが変わったのかについてのブログでしたが、今回はリニューアルの経緯(なぜ変えたのか)と電子地形図25000との関係(デジタルデータと紙地図の関係)について解説します。

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1地形図は、全国をカバーする最大縮尺の地図として、50年ほど前から整備が進み、30年ほど前に全国整備が完了し、その後修正や更新が繰り返されてきました。その間いくつかの記号の廃止や追加がありましたが、地図の様式はほとんど変わらず、最も基本的な地図として親しまれてきました。今ではパソコンや携帯、カーナビなどでデジタルの地図が花盛りですが、山登りや教育、行政など依然として紙地図も広く使われているところです。

このように、デジタル地図のニーズが高まる中、紙地図のニーズも変わらずあるため、国土地理院では限られた予算の中でアナログもデジタルも含めた全体の作成工程を見直し、効率化・合理化を図る必要に迫られていました。

 平成216月に発表された「基本測量に関する長期計画」では、「地図等により国土を表す際の基準となる基本的な地理空間情報として、電子国土基本図等を整備する」と記述され、地図情報とオルソ画像、地名情報で構成される方針が示されました。

平成2310月に発表された「フレッシュマップ2011」や平成2411月に発表された「フレッシュマップ2012」では、まずベクトルデータである電子国土基本図を整備・更新して、これを基に「基盤地図情報」、「電子国土Web」、「数値地図(国土基本情報)」、「電子地形図25000」などの形で提供していくこととされました。
 印刷図の更新についても、電子国土基本図から作成する方法に順次移行して、平成25年度半ばから刊行を開始することとされました。

 このように、統合された地図作成体系では、電子国基本図が一番基となるデータとなります。その作成・更新には地方公共団体等の協力も得て、都市計画区域では縮尺25百分1に相当する精度、その他の区域は25千分の1の精度で、日本全国をシームレスにデータベース化しています。また、更新は市町村単位等で面的に更新する他、道路など変化した部分だけ項目単位で更新し、できるだけリアルタイムに近い形で更新されることを目指しています。

 一方、25千分の1地形図(多色刷)印刷図は、電子国土基本図から作られるわけですが、印刷図という性格から電子国土基本図が更新されても連動して直ちに更新されるわけではありません。従って、最新の地図画像データが必要な場合は、電子地形図25000をご利用頂き、印刷図が必要な場合は情報が多少古い可能性があることを了解して地形図を購入して頂くことになります。

しかし、これまでは地図の在庫がなくなった場合に、同じ原版から補給印刷していましたが、地形図の作成方法の変更によって、補給印刷の度に最新の電子国土基本図から印刷できるようになりました。従って、印刷図もこれまでよりは新しいものとなります。

 また、電子国土基本図が都市部では25百分1の詳細情報を持っていることから、これから作られる地形図も詳細な情報を表現しなければならなくなりました。そこで、平成242月から平成257月まで設置された「電子国土基本図のあり方検討会」で、使いやす表現方法が検討され、多色刷りによる多彩な色表現を用いた図式が決定されました。

 このように、紙地図としての25千分の1地形図(多色刷)、デジタルデータの電子地形図25000や電子国土基本図など、多様な形態で提供されるようになり、それぞれの特徴もあるので、必要に応じて使い分けて頂ければと思います。



jmcblog at 11:22 
コラム 

2013年10月25日

国土地理院では、長年にわたって親しまれてきた3色刷りの2万5千分1地形図を、およそ50年ぶりに一新し、今後数年をかけて多色刷りの地図へ変えていきます。その第一弾として、11月1日に下図に示す10面が刊行されますので、この「地図の散歩道」で、新しい地図の特徴などを3回に分けて解説します。

刊行図

今回はその初回として、新しい地図はどこが変わったのかについて解説します。

 新しい地形図は、昨年8月30日から刊行を始めたデジタルデータの「電子地形図25000」とほぼ同等の内容で、都市部では2千5百分1の地図に相当する詳細な情報が盛り込まれています。また、これら詳細な情報を見やすく表現するため、これまでの3色刷り(黒、茶、青)から、多彩な色を使った多色刷りにしています。
 

地形表現では、等高線の他に緑色の陰影をつけて、立体感をより分かりやすくしています。黒色は、注記や建物記号、植生記号、道路など多くの表現で使われているため、建物については他の記号と区別できるように、従来の黒から橙色に変えています。また、従来は高速道路と国道だけを茶色に着色していましたが、新図では高速道路を緑、国道を赤、都道府県道を黄色にして、道路の区分を分かりやすくしています。さらに、国道番号は道路標識と同様に青色の逆おにぎり型に数字を白抜きにしています。路線名、駅名、橋名、トンネル名など、道路や鉄道に関係する注記は緑色にしています。


新しい地形図は、1枚330円(消費税込)で地図販売書店等から購入できます。今後毎月新刊が刊行され、数年で全国の地形図が新しい多色刷り地図に置き換わっていく予定です。実物をお手に取って頂き、感想などを地図センター宛にお寄せいただければ幸いです。

下の図は、試作された「高知」の一部と今回刊行される「奥多摩湖」の一部で、上が従来の3色刷り、下が新しい多色刷りの例です。

多彩な色表現で分かりやすくしていますが、特に都市部では盛り込まれる情報量が従来の地形図より相当多くなっているため、若くないと読むのが少しつらいかも知れません。


旧1旧2
従来の2万5千分1地形図(3色刷)
(クリックすると拡大図)

新1新2
新しい25千分1地形図(多色刷)

(クリックすると拡大図)



jmcblog at 09:00 
コラム 

2013年10月21日

 2013年1月18日に行われた第183回通常国会における安倍総理の所信表明演説のなかで、“外交は、単に周辺諸国との二国間関係だけを見つめるのではなく、地球儀を眺めるように世界全体を俯瞰(ふかん)して、・・・戦略的な外交を展開していくのが基本であります。”と述べており、それ以降の外交は“地球儀外交”と言われてきています。

 総理の通常国会の演説の次の日の1月19日に行われた大学入試のセンター試験の国語の問題に、戦前の小説家である牧野真一の短編小説「地球儀」の全文が問題として出されました。この2つの事象は偶然でしょうが大きな場面に続けて出たので面白く思いました。ただその中では地球儀は、三尺もありかさばる邪魔な物、地球が丸いと表すもの、アメリカが日本の反対側にあることを表すもの、クルクルと回転させて遊ぶものなどとして表現されています。地球儀の表面的な状態を表していますが、一方では作者の地球儀に対する率直な感想であるとともに、作者の心の中をあらわしていました。

 なお10月15日に開かれた第185回の臨時国会の所信表明演説でも、“総理就任から十か月間、私は、地球儀を俯瞰する視点で、二十三か国を訪問し、・・・。”と述べ、地球儀の意義も強調されています。

 
 今後“世界を俯瞰できる”地球儀の存在価値が外交に限らず教育などにももっと取り入れられ、小説「地球儀」で示されている状況を改善し、さらに地図教育の重要性がさらに上がるように願っています。

地球儀グローバルプランニング
(画像:グローバルプランニングHPより)



jmcblog at 17:44 
コラム 

2013年10月16日

地図は見ているだけで面白い。ならば魅せるデザインにも成り得るのでは? そう思って少しだけ意識して地図グッズを探してみるとたくさんの地図モチーフの商品が見つかります。
     図3
 わかりやすいものから行くとまずは電車関係。
東京メトロが本体の取っ手を引っ張ると、地下鉄路線図が巻物のように取り出せるようになった“インフォボ−ルペン”これは渋谷と池袋をつなぐ副都心線の開業1周年を記念して出した「オフィスグッズシリーズ」の一つで、10000系車両のフロントがキャップとなっています。また、何気ないものが実は地図というものもあります。たとえば一見すると代わり映えのないネクタイが実は裏を返すと地下鉄の路線図が描かれているものもあります。これで出先での乗り換えも困らない!?


 手前味噌ですが、(一財)日本地図センターでも地図地理検定の地図のマークのTシャツ、地図記号手ぬぐい、世界地図扇子などをネット販売しています。
 

      図1

そのほか、海図を再利用したレターセット、京都の地図が描かれた無印良品のハンカチもあります。このハンカチは現在は販売が終わってしまいましたが、京都の他にパリやニューヨークなどの都市が大判のハンカチに描かれていました。変わったものとして、スイスのトラックの幌をリサイクルしている鞄(FREITAG)でも地図柄は見つかります(私物)。トラックの幌のデザインにも地図を使用する会社がある、ということの裏づけでもあります。  

     図2
 地図は情報としてのツールであるとともに、人に見せる/魅せるものでもあります。いかにも地図らしいものから、「え、これも地図なの?」というものまで。地図の世界は奥深いですが、入り口はとても身近なところに溢れ、万人に開かれています。



jmcblog at 13:36 
コラム 

2013年10月07日

 本年11月24日(日)、第20回地図地理検定が開催されます。インターネットからも受付を行っていますので、受検を希望される方は是非お申し込みください!

 地図地理検定では、これまでにも日本や世界各地の地図にちなんだ名所に関する問題を出題してきました。下の問題は、第16回で出題したものです。


問:下の2万5千分1地形図は、兵庫県伊丹市の「昆陽池公園」付近を示したものです。昆陽池には人口の島がありますが、下の地図では消しています。池は大阪国際空港(伊丹空港)の離着陸コースの下にあるので、飛行機の窓から見えます。そのため島も特徴的な形に作られました。それはどのようなものでしょうか。
(第16回地図地理検定(一般)より)


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さて、あなたはわかりますか?



↓ ↓ ↓





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 兵庫県伊丹市の昆陽池(こやいけ)公園の池の中の島は、上から見たら日本列島の形になっています。北海道、本州、四国、九州の四島だけですが、海に囲まれた日本のイメージにぴったりだと思います。また島は誰も渡れないので「野鳥の島」と名づけられており、野鳥の楽園となっています。

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map1_koyaike2--333662c7eb558dc1a1516e9e2d9f230a昆陽池拡大⊆命
上)2万5千分1地形図「伊丹」より
下左)伊丹市ホームページより
下右)Yahoo!地図空中写真より


 昆陽池公園は、伊丹市役所の北西500mほどのところに位置し、伊丹市では最も広い公園となっています。広さは27.8haあり、そのうち昆陽池は12.5haを占めています。
 昆陽池は、奈良時代の名僧行基が731年に築いたと伝えられるため池で、昭和47,48年の公園整備で、池の中に日本列島の形をした島が作られました。全長250mほどあります。 

jmcblog at 10:21